突然ですが、なぜ人が太ってしまうかそのメカニズムについてご存じでしょうか。あまり食べていないのに太ってしまう、昔と変わらない食生活を送っているのに太ってしまうなど、太るメカニズムについて知ることによって様々な肥満の悩みの原因を知ることができます。
太るメカニズム
肥満とは、白色脂肪組織への過剰な脂肪蓄積症であり、過剰に取り込んだエネルギーを脂肪に溜め込んでいる状態のことを指します。
白色脂肪細胞は、皮下や内臓に分布し、体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積する役割を持っています。血液中に脂質や糖などの中性脂肪が増えると、取り込んでぷっくり膨らみます。白色脂肪細胞は、活発に脂肪の合成を行うと肥大していきます。ある水準までに達すると、細胞が大きくなるだけでは対処が難しくなり、細胞分裂によって数を増加させます。肥満者の白色脂肪細胞は、約800億個にもなるといわれています。分裂を繰り返し、肥大蓄積された白色脂肪細胞が、肥満の原因と言えますね。その、白色脂肪細胞を増やしてしまう要因があります。
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランス
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余ったエネルギーが脂肪として蓄積され、体重が増加します。そのため、高カロリーで栄養が少ない食品やファーストフードの摂取は、栄養が不足しやすくなり、肥満の原因となります。過剰な糖分や脂肪分の摂取も太りやすい傾向があります。所謂、食べ過ぎと呼ばれるものです。ここで気を付けたいのが、食事の回数が少ない、朝食を抜くなどの食事制限です。長い時間栄養をとらないと身体が飢餓状態になります。飢餓状態になると命を守るために脂肪が蓄えられ、食べていないのに太ることがあります。そのため、栄養をしっかりと吸収しようと身体が働くため、回数の少ない食事で高カロリーの食事をとってしまうと、より太ってしまうおそれがあります。
摂取カロリーを抑えることができても、消費カロリーを増やさなければ肥満につながってしまいます。運動不足や座りっぱなしの生活習慣のある方は、エネルギーの消費が不足し、太りやすい状態になってしまいます。人には、基礎代謝と呼ばれる何もしなくても消費されるカロリーが存在しますが、運動不足や老化により代謝が落ちて太りやすい状態になります。
肥満遺伝子
太りやすい体質の原因として、肥満遺伝子が挙げられます。肥満遺伝子とは、基礎代謝や糖質・脂質代謝を低下させたり、筋肉をつきにくくしたり、食欲を増進させる遺伝子です。この遺伝子を持って生まれた人は、通常の人に比べて太りやすくなります。肥満の原因の3割は遺伝が影響しているといわれています。肥満遺伝子を持っている方は、より環境づくりに気を付ける必要があります。
女性ホルモン
特に女性は、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロン等の影響を受けやすい傾向にあります。
エストロゲン
コレステロールや中性脂肪、内臓脂肪など脂肪の代謝に関係する働きを持っており、閉経してエストロゲンが減少すると、悪玉コレステロールが上昇しやすくなり、内蔵型肥満になりやすいといわれています。
プロゲステロン
生理前や生理中に分泌が増えるため、体内に脂肪や水分をため込みます。また、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを弱めるので食欲が増しやすく、痩せにくくなる原因となります。生理前や生理中に食欲が増加する女性は、このホルモンの影響を受けています。
ストレス
ストレスを感じると太ってしまうことがあります。ストレスを発散するために、暴飲暴食をしてしまったり、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、食欲のコントロールが難しくなったり、ストレスを感じることで体がさまざまな反応を起こして、脂肪を溜め込みやすくなってしまいます。また、肥満になると身体を動かすのが面倒になり、気分転換の機会が減ってストレスを発散できなくなってしまう事があるそうです。
睡眠不足
睡眠不足も、肥満に関わっています。睡眠不足が続くと自律神経系、ホルモン系の調節機能が崩れてしまいます。その結果、消費エネルギーの低下や食事摂取量の増加を招いてしまい、肥満の原因になります。また、睡眠不足になると昼間に眠気を感じ、集中力が落ちて、日中の活動意欲が低下します。運動不足となり肥満が助長されて行くことにつながります。
筋肉量の減少
肥満の大きな原因として、筋肉量の減少がよく見られます。筋肉量が多いほど、基礎代謝量が増えていきます。筋肉が増えるとエネルギー代謝が上がり、エネルギーを効率よく消費して体に脂肪をためにくい身体になるのです。筋力・筋肉量が落ちる原因は加齢のほか、活動量の不足、病気や栄養不足が挙げられます。短い時間でも、日々運動をする機会を作るとよいですね。
理想的な体を手に入れるために
太るメカニズムについて解説しました。様々な問題が肥満につながってしまうという事を知っていただけたと思います。一般的に健康的と言われる生活を続けていくことができれば、肥満のリスクは非常に抑えられるということです。毎日、10分以上の運動をし、栄養バランスの良い食事を3度食べ、7〜8時間の睡眠を取れるとベストですね。しかし、このような生活を送るのが難しいという方もいらっしゃると思います。全てを一度に変える必要はありません。 少しずつ、生活習慣を改善し理想の体を目指しましょう。