食・栄養

一人暮らしの食事の基本を紹介!便利な食品やバランスの良い食事のコツは?

進学や就職を機に一人暮らしを始める息子や娘、離れて暮らす独居の親など、遠方で見守る人にとって、気がかりとなるのが一人暮らしをする人の食事です。
一人暮らしで健康を保つには、栄養バランスを意識した食事が重要です。一人暮らしの人に知ってほしい健康的な食事の基本と、便利な食品や食事のコツを紹介します。

一人暮らしの食事の注意点

一人暮らしの食事のメリットは、いっしょに食べる人に気を使うことなく、食べたい物を自由に食べられることです。好きな物を好きな時間に食べたいと思っていた人にとっては、幸せな時間かもしれません。

しかし、「やせたいから、野菜ばかり食べる」「献立を考えるのが大変、料理が苦手で、いつも同じ物ばかり食べている」といった状態が続くと、当然ながら摂取する栄養のバランスが崩れ、体に影響が出る可能性が高まります。一人暮らしの食事で特に注意したいのは、下記の2点です。

多種多様な食品を購入しにくく、同じ食品ばかりとりがち

一人暮らしの場合、多種多様な食品を購入して上手に使い切るのは、調理や保存の知識が必要になり、かなりハードルが高いでしょう。「必要な食品を必要な分だけ購入したい」「できるだけ日持ちのする食品を利用したい」といったエコ意識が高いほど、選ぶ食品は限定的になり、少ない食品で作れる献立に偏りがちです。

小分けやバラ売りの食品を購入したり、余った食品は冷凍保存したりして、多種多様な食品をとれるよう工夫しましょう。

手軽で調理不要な単一食品で済ませてしまう

最近は、コンビニのお惣菜も多様化し、選び方次第で栄養バランスのとれた食事をできるようになりました。しかし、一人暮らしだと手軽に食べられる単一食品を選んでしまうことも多いでしょう。
こうした状況を避けるには、食品の「色」に注目し、かごの中が多色になるように買い物をしたり、簡単な調理工程で多様な食品がとれる「キット」を活用したりするのがおすすめです。

1人暮らしの食事の基本とは?

一人暮らしの人が意識したい、健康的な「食事の基本」とはどのようなものなのでしょうか。心掛けたいのは、1回の献立で主食・主菜・副菜をそろえることです。ここでは、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」を参考に、身体活動レベルが低い成人男性や、身体活動レベルが普通以上の成人女性が1日にとるべき食品のおおよその量を紹介します。 活動量に応じた身体活動レベルは、下記のとおりです。

<身体活動レベル>

・高い:立ち仕事や移動が多い仕事、または活発な運動習慣を持っている人
・普通:座り仕事が中心だが、軽い運動や散歩などをする人
・低い:一日のうち、座っていることがほとんどの人

活動量が低い成人男性や、活動量が普通以上の成人女性がとるべき適切なエネルギー量は、2,200kcal±200kcalです。1日にとるべき食品のおおよその量は、性別や活動量によって異なります。自分の性別や年齢、活動量に合わせて参考にしてみてください。
出典:農林水産省「食事バランスガイド」

主食:炭水化物を摂取できるメニュー

主食は炭水化物を摂取できるメニューで、ごはん、パン、そば、うどんなどが代表的です。炭水化物に含まれる糖質は、しっかり頭を働かせ、体を動かすために必須のエネルギー源。下記の表を参考に、1日5から7つを目安にとりましょう。

■主食を食べる量の目安

単位
量の目安

ご飯小盛り(100g)、おにぎり、食パン1枚
1.5
ごはん中盛り(150g)

麺類1食分

主菜:たんぱく質や脂質を摂取できるおかず

メインのおかずである肉、魚をはじめ、卵、納豆や豆腐といった大豆製品など、たんぱく質や脂質を摂取できるおかずが主菜にあたります。たんぱく質は筋肉のもとになるので、1日3~5つを目安に食べてください。
なお、たんぱく質については、「肉だけ」「魚だけ」と偏らず、複数の食品からとることを意識しましょう。毎食完璧にしようとせず、足りない分はおやつで補ったり、翌日の食事で調整したりしても構いません。

■主菜を食べる量の目安

単位
量の目安

卵を使った料理

魚料理

肉料理

副菜:ビタミンやミネラル、食物繊維を摂取できるおかず

野菜、きのこ、いも、海藻などを使った、ビタミンやミネラル、食物繊維を摂取できるおかずが副菜です。副菜は、必要な栄養素をとるために1日5つ程度を食事に取り入れましょう。副菜は小鉢1皿が1つ分の目安となります。
ビタミンは、体の機能を保つために必要で、体内ではほとんど合成できないため、食品から摂取しなければなりません。ミネラルは体を構成する酸素・炭素・水素・窒素以外のものを指し、不足すると不調の原因となります。ミネラルは体内で合成できないため、食品から摂取する必要があります。
食物繊維は腸内環境を整える働きがある重要な栄養素です。

牛乳、乳製品:カルシウムが摂取できる食品

牛乳やチーズ、ヨーグルトなど、カルシウムの供給源となる食品も摂取しましょう。
1日の摂取量の目安は、牛乳なら200ml、スライスチーズなら2枚です。

果物:ビタミンCやカリウムが摂取できる食品

果物を食べることで、ビタミンCやカリウムが摂取できます。
1日の摂取量の目安は、みかんなら1個、りんごなら半分です。

その他:菓子、嗜好飲料

菓子や嗜好飲料は、食生活の楽しみとしてとらえましょう。
目安は1日200kcal以下です。せんべいなら3~4枚、ビールなら500mlまでが目安です。

実践できる!一人暮らしの食事の5つのコツ

ここからは、実践しやすい一人暮らしの食事のコツを紹介します。たんぱく質がとれる主菜と、野菜の副菜、主食を、1:2:3の割合で食べると、栄養バランスの良い食事になります。

1.主食は必ず食べる

主食に含まれる炭水化物(糖質)は、脳をはじめ体全体のエネルギー源になります。特にブドウ糖のみを栄養素とする脳や、筋肉には不可欠です。主食は抜かずに食べましょう。

2.主菜のたんぱく質は、3食異なる食品から

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランス良く食べ、食べ物からしか取れない必須アミノ酸を取り入れることが大切です。1回の食事で、「肉と卵」「魚と大豆製品」のように、たんぱく質を含む食品を複数組み合わせて献立を構成するといいでしょう。
魚と肉は、週単位で見たときに、感覚として「足りない」と感じるほうを多めにとるのがおすすめです。

3.食に緑黄色野菜、淡色野菜を取り入れる

野菜は毎食、できるだけ多くとりたい食品です。1日に必要な野菜の3分の1以上を緑黄色野菜から選ぶのが理想ですが、分類して考えるのが面倒な場合は、中身の色の濃い野菜と薄い野菜をバランス良く料理に含めるようにしてください。

なすやきゅうり、とうもろこしなどは、皮の色は濃いですが中身の色が薄いため淡色野菜です。

4.食物繊維を積極的にとる

食物繊維は、肉や魚などの動物性食品にはほとんど含まれないため、植物性食品で摂取する必要があります。主食を白米・食パンから玄米ごはん・全粒小麦パンに切り替えたり、野菜、豆、きのこ、海藻をおかずや汁物に入れたりして、食物繊維を積極的にとりましょう。

5.デザートやおやつとして果物を取り入れる

油断すると栄養バランスが崩れがちな一人暮らしの食事。デザートやおやつに甘い物やジャンクフードをとるのはできるだけ避け、不足しがちなビタミンを多く含んだ果物を積極的にとりましょう。

おわりに

ここまで、一人暮らしの人が自炊する際の基礎知識や食事のコツを紹介してきました。ただ、毎食栄養バランスがベストな献立を用意するのは難しいものです。栄養バランスを考えて「あれもこれも食べないと…」とがんばりすぎると、自炊そのものを手間と感じるようになってしまうかもしれません。

余裕のない時は無理せず外食や宅配を検討してみてもいいかもしれません。無理せず出来ることから試してみてください。

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