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代謝性アシドーシスとは?原因や症状を分かりやすく解説します!

代謝性アシドーシスとは、体内の酸とアルカリのバランスが崩れ、血液が酸性に傾く状態を指します。

通常、体は腎臓や肺を通じてpHバランスを維持していますが、腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、重度の下痢などの影響で、酸が過剰に蓄積したり、アルカリが失われたりすると、この状態が引き起こされます。

本記事では、代謝性アシドーシスの原因や症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。

早期発見と適切な対応が重要となるため、正しい知識を身につけておきましょう。

代謝性アシドーシスとは?わかりやすく解説

代謝性アシドーシスとは?分かりやすく解説します

代謝性アシドーシスの定義と基本情報

代謝性アシドーシスとは、体内の酸とアルカリのバランスが崩れ、血液が酸性に傾いた状態のことを指します。

通常、体は適切なpH(酸性・アルカリ性の指標)を保つために、腎臓や肺の働きによって酸とアルカリのバランスを調整しています。

しかし、何らかの原因で酸が過剰に蓄積する、またはアルカリが不足することで、このバランスが崩れ、アシドーシスが引き起こされます。

早期発見と適切な治療が重要な疾患です。

正常なpHとアシドーシスの関係

血液のpHは、通常7.35~7.45の範囲に維持されており、これが崩れると体の機能に悪影響を及ぼします。

pHが7.35未満に下がると「アシドーシス(酸性状態)」、7.45を超えると「アルカローシス(アルカリ性状態)」と呼ばれます。

pHが7.0付近まで低下すると、意識障害や昏睡、さらには致命的な状態に陥る可能性があるため、厳密なコントロールが必要です。

代謝性アシドーシスでは、体内の酸が過剰に蓄積するか、アルカリ(重炭酸イオン)が失われることでpHが低下します。

これに対し、体は肺での二酸化炭素排出を増やす(呼吸性代償)ことで酸を減らそうとします。そのため、代謝性アシドーシスの患者は深く速い呼吸(クスマウル呼吸)をすることが特徴です。

代謝とアシドーシスの仕組み

代謝性アシドーシスは、体内の代謝過程で発生する酸の増加や、腎臓の働きによるアルカリの喪失によって引き起こされます。通常、体は酸を尿や呼気で排出することでバランスを保ちますが、腎機能や呼吸機能が低下すると、この調整がうまくいかなくなります。

具体的には、乳酸アシドーシス(酸素不足による乳酸の蓄積)、糖尿病性ケトアシドーシス(インスリン不足でケトン体が増加)、腎不全による酸の排出障害などが代謝性アシドーシスの主な要因です。

また、重度の下痢によって重炭酸イオン(アルカリ)が失われることでも、体液のpHが低下します。

このように、体の代謝機能と酸・アルカリのバランスは密接に関係しており、異常が生じると体にさまざまな悪影響を及ぼします。

代謝性アシドーシスの原因とは?

代謝性アシドーシスの原因について

原因となる疾患と病態の具体例

代謝性アシドーシスは、体内の酸が過剰に蓄積するか、アルカリが失われることで血液が酸性に傾く状態です。

その原因となる主な疾患として、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、下痢による重炭酸喪失などが挙げられます。

糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリン不足によって脂肪が分解され、大量のケトン体(酸性物質)が産生されることでpHが低下する病態です。

一方、乳酸アシドーシスは、低酸素状態や敗血症、肝疾患などが原因で乳酸が異常に蓄積し、アシドーシスを引き起こします。

また、腎不全では腎臓の酸排出機能が低下し、体内に酸が蓄積しやすくなります。重度の下痢によって重炭酸イオンが失われると、アルカリ成分が不足し、代謝性アシドーシスが進行します。

嘔吐や腎不全に伴う代謝性アシドーシス

嘔吐と腎不全は、いずれも体内の酸・アルカリバランスに影響を与え、代謝性アシドーシスを引き起こす可能性がある状態です。腎不全では、腎臓の酸排出機能が低下し、酸が蓄積することで血液が酸性に傾きやすくなります。

腎臓は通常、尿中に酸を排出し、体内のpHを調整する役割を持っています。

しかし、腎機能が低下すると酸の排出が不十分となり、血液のpHが低下し、慢性的なアシドーシス状態(腎性アシドーシス)に陥ることがあります。慢性腎不全の患者では、進行すると透析が必要になることもあります。

一方、嘔吐が長時間続く場合、胃酸(塩酸)が失われるため、一時的にはアルカローシス(アルカリ性)を引き起こすことが多いです。

しかし、嘔吐による脱水や腎機能の低下が進むと、腎臓が酸の排出を抑えたり、体液のバランスが崩れたりすることで、最終的に代謝性アシドーシスを引き起こすこともあります。

代謝性アシドーシスの症状と兆候とは?

代謝性アシドーシスの症状と兆候について

代謝性アシドーシスの主な症状

代謝性アシドーシスは、体内のpHが低下し、血液が酸性に傾くことでさまざまな症状を引き起こす状態です。

軽度の場合は自覚症状が少ないこともありますが、進行すると倦怠感、吐き気、意識障害、心拍数の増加などの症状が現れます。

倦怠感や脱力感は、エネルギー代謝の低下によって起こりやすく、日常生活に支障をきたすこともあります。また、嘔吐や食欲不振がみられることがあり、体液のバランスがさらに崩れると脱水症状を引き起こす可能性があります。

重度のアシドーシスでは、血圧低下や不整脈、ショック状態に陥るリスクもあります。また、意識レベルの低下や昏睡に至ることもあるため、早期の診断と治療が重要です。

呼吸の変化や血液ガスの異常

代謝性アシドーシスの特徴的な兆候の一つに呼吸の変化があります。

体内のpHが低下すると、体は酸を排出しようとする代償反応として呼吸を深く速くする(クスマウル呼吸)ことが知られています。これは、肺から二酸化炭素(CO₂)を排出し、血液の酸性化を抑えようとする生理的な反応です。

また、血液ガス分析では、pHの低下(7.35未満)、血中の重炭酸イオン(HCO₃⁻)の減少(22mEq/L未満)、二酸化炭素分圧(PaCO₂)の低下が見られることが一般的です。特に、腎不全や糖尿病性ケトアシドーシスでは、血中のアニオンギャップ(AG)が上昇することが多く、診断の手がかりになります。

呼吸の変化が見られた場合、すぐに医療機関での血液ガス分析を行い、原因を特定することが重要です。呼吸が深く速くなる、意識がもうろうとする場合は緊急の対応が必要となることがあります。

慢性と急性の症状の違い

代謝性アシドーシスには、急性と慢性の2つのタイプがあり、それぞれ症状の現れ方が異なります。

急性代謝性アシドーシスは、短期間で血液のpHが急激に低下するため、強い倦怠感、吐き気、意識障害、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)が急速に進行します。

原因としては、糖尿病性ケトアシドーシス、敗血症、重度の下痢や腎不全などが挙げられ、早急な治療が必要です。放置すると、ショック状態に陥る危険もあります。

一方、慢性代謝性アシドーシスは、数週間から数カ月かけてゆっくり進行し、軽度の倦怠感や筋力低下、骨密度の低下(腎性アシドーシスの場合)などの症状が現れます。

慢性腎不全患者では、酸の排出が徐々に低下し、軽度のアシドーシスが持続することがあります。

急性の場合は迅速な対応が求められるのに対し、慢性の場合は基礎疾患の管理や食事療法が重要になります。

いずれのケースでも、早期発見と適切な治療が健康維持の鍵となります。

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシスの違い

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシスの違いについて

原因の違い

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシスは、体内の酸とアルカリのバランスが崩れることで発生する疾患ですが、それぞれ原因が異なります。

代謝性アシドーシスは、体内で酸が過剰に蓄積するか、アルカリ(重炭酸イオン)が失われることで起こります。

腎臓の機能が低下すると酸の排出がうまくできず、アシドーシスが進行しやすくなります。

一方、代謝性アルカローシスは、体内でアルカリが増加するか、酸が失われることで発生します。

主な原因として、長期間の嘔吐(胃酸の喪失)、利尿剤の使用(カリウム喪失)、低カリウム血症、副腎機能異常などが挙げられます。嘔吐によって胃酸(塩酸)が失われると、血液がアルカリ性に傾きやすくなります。

このように、アシドーシスは酸の過剰、アルカローシスはアルカリの過剰や酸の喪失が原因となり、それぞれ異なる病態を引き起こします。

症状の違い

代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシスでは、血液のpHバランスが異なるため、それに応じた症状が現れます。

代謝性アシドーシスでは、血液が酸性に傾くため、疲労感、意識障害、倦怠感、嘔吐などの症状が出現します。体が酸を排出しようとする代償反応として、クスマウル呼吸(深く速い呼吸)が起こり、二酸化炭素(CO₂)の排出を促進します。

重度の場合、ショック状態や昏睡に至ることもあります。

一方、代謝性アルカローシスでは、血液がアルカリ性に傾くことで、筋肉の痙攣、手足のしびれ、めまい、吐き気などの症状が見られます。低カリウム血症を伴う場合、不整脈や筋力低下が起こりやすくなります。

また、アルカローシスでは、呼吸が浅くゆっくりになる(低換気)傾向があり、体が酸を保持しようとする調整が行われます。

このように、アシドーシスでは呼吸が深く速くなり、アルカローシスでは呼吸が浅く遅くなるという特徴的な違いがあります。それぞれの病態に応じた適切な治療が重要です。

さいごに

代謝性アシドーシスは、体内の酸とアルカリのバランスが崩れることで発生する深刻な状態です。主な原因として、腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、重度の下痢などが挙げられ、放置すると意識障害やショック状態を引き起こすこともあります。

早期に発見するためには、倦怠感や吐き気、呼吸の異常などの症状に注意し、異変を感じた場合は速やかに医療機関を受診することが大切です。

血液ガス分析や血液検査を通じて正確な診断を受け、原因に応じた適切な治療(輸液療法、重炭酸ナトリウムの投与など)を行うことが求められます。

本記事を参考に、代謝性アシドーシスについての理解を深め、健康管理に役立ててください。

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