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知っておきたい代謝性アルカローシスとは?原因や症状も解説します

代謝性アルカローシスとは、血液のpHが正常範囲(7.35~7.45)を超えてアルカリ性に傾く状態を指します。

通常、体内では腎臓や呼吸機能によって酸とアルカリのバランスが維持されていますが、様々な要因によってアルカリが過剰になったり、酸が失われたりすると、このバランスが崩れます。

本記事では、代謝性アルカローシスの原因、症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。

早期の発見と適切な対処が健康維持に不可欠なため、ぜひ正しい知識を身につけましょう。

代謝性アルカローシスとは?基本的な情報について

代謝性アルカローシスとは?基本的な情報について

代謝性アルカローシスの意味と定義

代謝性アルカローシスとは、血液のpHがアルカリ性(7.45以上)に傾いた状態を指します。

通常、体内では酸とアルカリのバランスが厳密に調整されていますが、アルカリ(重炭酸イオン)の増加や、酸の過剰な喪失が起こることで、このバランスが崩れると代謝性アルカローシスが発生します。

この状態が続くと、筋肉のけいれんや脱力感、意識障害、不整脈などの症状を引き起こすことがあります。

血液のpHバランスは生命維持に不可欠であり、代謝性アルカローシスの早期発見と適切な治療が重要となります。

代謝性アルカローシスが発生する仕組み

代謝性アルカローシスは、体内の酸とアルカリのバランスが崩れ、血液がアルカリ性に傾くことで発生します。

その仕組みとして、酸(H⁺)が過剰に排出される場合と、アルカリ(HCO₃⁻)が過剰に蓄積する場合の2つのパターンがあります。

まず、頻繁な嘔吐では、胃酸(塩酸)が大量に失われることで体内の酸が不足し、血液がアルカリ性に傾きます。

また、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬の使用により、腎臓からナトリウムとカリウムが排出されると、代償的にアルカリが体内に蓄積されやすくなります。

低カリウム血症では、細胞内からH⁺(水素イオン)が細胞外に移動し、血液のpHが上昇することで代謝性アルカローシスが引き起こされます。

代謝性アルカローシスの主な原因

代謝性アルカローシスの主な原因について

嘔吐や下痢による影響と塩基喪失

嘔吐や下痢は、体内の酸・アルカリバランスに影響を与え、代謝性アルカローシスの原因となることがあります。

長期間の嘔吐では胃酸(塩酸)が大量に失われるため、血液がアルカリ性に傾きやすくなります。胃酸は体内のpH調整に関与しており、その喪失が続くとアルカリ成分(重炭酸イオン)の割合が相対的に増加し、代謝性アルカローシスを引き起こします。

一方、下痢の場合は通常、酸性の腸液が多く失われるため、代謝性アシドーシスを引き起こしやすいですが、重度の下痢ではカリウムの喪失が進み、結果的にアルカローシスを助長することもあります。

そのため、嘔吐や下痢が続く場合は、電解質の補給を行い、体液のバランスを適切に保つことが重要です。

低カリウム血症や腎臓機能障害との関連性

代謝性アルカローシスは、低カリウム血症や腎臓の機能障害とも密接に関係しています。カリウムは細胞の内外でイオンバランスを調整する重要なミネラルであり、不足すると体内の酸・アルカリバランスが崩れ、アルカローシスを引き起こす要因になります。

低カリウム血症では、細胞内のカリウムが不足するため、代償的に細胞内の水素イオン(H⁺)が血液中に取り込まれ、血液のpHが上昇します。

また、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬の使用によって腎臓からカリウムが排出されると、同時にアルカリ成分が蓄積し、代謝性アルカローシスが進行しやすくなります。

腎不全や副腎機能の異常(クッシング症候群、アルドステロン症など)もアルカローシスの原因となることがあります。

これらの疾患では、腎臓がナトリウムや水分を過剰に保持し、カリウムが排出されやすくなるため、結果として血液のアルカリ性が強まります。

代謝性アルカローシスの症状とは?

代謝性アルカローシスの症状とは

代謝性アルカローシスの主な症状について

代謝性アルカローシスでは、血液がアルカリ性(pH7.45以上)に傾くことで、神経・筋肉・循環器系に影響を与える症状が現れます。

初期症状として、倦怠感、吐き気、食欲不振、手足のしびれなどが見られ、軽度であれば自覚症状がほとんどないこともあります。

筋肉のけいれんや脱力感が現れることがあり、これは血中のカルシウムイオン濃度の変化によるものです。また、低カリウム血症を伴う場合は、不整脈や血圧の変動が起こる可能性があり、心疾患のリスクが高まることがあります。

代謝性アルカローシスの原因によって症状の程度は異なりますが、重度になると意識障害や呼吸抑制を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要になります。

呼吸抑制や平衡異常による影響

代謝性アルカローシスでは、体がpHバランスを調整しようとする代償反応として、呼吸の変化や平衡感覚の異常が生じることがあります。

通常、血液がアルカリ性に傾くと、体は酸性を維持するために二酸化炭素(CO₂)を保持しようとし、呼吸が浅くゆっくり(低換気)になります。これにより、酸の排出が抑制され、一時的にpHバランスを整えようとします。

しかし、呼吸抑制が進むと、酸素供給が不足し、倦怠感や意識障害が生じる可能性があります。

また、アルカローシスによって神経の過剰興奮が起こり、ふらつきやめまい、手足のしびれ、筋肉のけいれんなどが見られることがあります。

重症化した場合の症状とその対処法

代謝性アルカローシスが重症化すると、神経・筋肉・循環器系に深刻な影響を及ぼし、意識障害や呼吸不全、不整脈などの危険な症状が現れることがあります。

血中のカリウムやカルシウム濃度が大きく変動すると、不整脈や心停止のリスクが高まるため、注意が必要です。

重度の場合、呼吸抑制が進み、酸素供給が不足することで呼吸困難や昏睡状態に至ることがあります。

重症例では、静脈内輸液や人工呼吸管理が必要となることもあり、迅速な医療介入が不可欠です。

代謝性アルカローシスと代謝性アシドーシスの違いは?

代謝性アルカローシスと代謝性アシドーシスの違いについて

二つの違いは「原因」と「症状」であるとされています。

名前は似ていますが、その原因と症状は正反対のため、しっかりとその違いについて把握しておきましょう。

アルカローシスとアシドーシスの違い:原因

代謝性アルカローシスと代謝性アシドーシスは、血液のpHバランスが異常をきたすことで発生しますが、それぞれ原因が異なります。

代謝性アルカローシスは、体内のアルカリ成分(重炭酸イオン)が過剰になるか、酸(H⁺)が失われることで発生します。主な原因として、長期間の嘔吐(胃酸の喪失)、利尿薬の使用(カリウム喪失)、副腎機能異常(アルドステロン分泌過剰)などが挙げられます。

一方、代謝性アシドーシスは、体内の酸が過剰に蓄積するか、アルカリが失われることで起こります。糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、重度の下痢による重炭酸の喪失などが主な原因となります。

つまり、アルカローシスはアルカリ過剰または酸不足、アシドーシスは酸過剰またはアルカリ不足によって引き起こされるという点が大きな違いです。

アルカローシスとアシドーシスの違い:症状

代謝性アルカローシスと代謝性アシドーシスでは、血液のpH異常によって現れる症状が異なります。

代謝性アルカローシスでは、神経や筋肉への影響が強く、筋肉のけいれん、手足のしびれ、めまい、倦怠感などの症状が現れます。また、低カリウム血症を伴う場合、不整脈や筋力低下が起こることもあります。体がpHを調整しようとして呼吸が浅くゆっくり(低換気)になることが特徴です。

一方、代謝性アシドーシスでは、体が酸を排出しようとして、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)、倦怠感、吐き気、意識障害が見られます。血圧低下や心筋機能の低下が起こることがあり、心不全や多臓器不全のリスクも伴います。

このように、アルカローシスは神経・筋肉系の異常が多く、アシドーシスは呼吸や循環系への影響が強いという違いがあります。

さいごに

代謝性アルカローシスは、血液のpHがアルカリ性に傾くことで、神経・筋肉・循環器系に影響を与える疾患です。嘔吐や利尿薬の使用、腎臓の異常などが原因となり、筋肉のけいれんや手足のしびれ、めまい、不整脈、呼吸抑制などの症状が現れます。

重症化すると意識障害や心不全のリスクが高まるため、早期発見が重要です。治療では、電解質バランスの調整、原因疾患の治療、必要に応じた療法が行われます。

本記事で解説した知識を活かし、症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、適切な対応を行うことが健康管理のポイントです。

日常生活での予防策も意識し、体のバランスを整えていきましょう。

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