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フラボノイドとは

フラボノイドとは?

フラボノイドとは、植物に含まれている色素、苦味、辛味の元となる成分であり、ポリフェノールの一種です。ポリフェノールは、植物に存在する苦味や色素の成分で、自然界に5,000種類以上存在します。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立ちます。フラボノイドは種類によって効果や特徴が違いますが、ほとんどが強力な抗酸化作用を持っています。そのため、サプリメントなどに利用されることがあります。フラボノイドは、植物の葉、茎、幹などに含まれており、現在まで4000種類以上が発見されています。植物が紫外線や害虫などから身を守るために生成している成分であり、色素や苦味成分のもととなっています。フラボノイドは、構造の違いによってフラボノール類、フラボン類、カテキン類、フラバノン類、アントシアニン類、イソフラボン類などに分けられています。
今回は、イチョウやシーバックソーンベリー、レモン、カカオに含まれるフラボノイドを6種類紹介していきます。

6種のフラボノイド

ケルセチン

ケルセチンは、フラボノイドの1種であり、主に野菜などに多く含まれている成分です。フラボノイドの中のフラボノール類に分類され、活性酸素を取り除く働きがあります。ケルセチンは、ビタミンPというビタミン様物質で、主にビタミンCの働きを助ける成分です。血管をしなやかにする効果や抗酸化作用があります。
ケルセチンが持つ抗酸化作用によって、活性酸素によるダメージを防ぎ、血流を改善する効果があります。活性酸素により、赤血球の柔軟性が失われてしまい、血液の流れを妨げてしまうのを防ぐということです。ケルセチンを多く含むタマネギのエキスを摂取すると、食後の血管内皮機能が改善されるという研究結果も報告されています。
血管内皮機能によって、血管が柔軟性を保ち、血液が流れやすい状態にしてくれます。この機能が低下してしまうと、細胞の間から悪玉コレステロールが入り込み、酸化することによって動脈硬化などが発生しやすくなり、悪化しやすくなります。そのため、高脂血症や糖尿病などの生活習慣病予防に役立つと考えられています。また、関節痛の症状を緩和する効果があります。ケルセチンは抗炎症作用を持つことから、関節の痛みを軽減する効果があります。

タンニン

タンニンとは、フラボノイドの一種です。収れん作用により、強い渋みがあるのが特徴です。肌につけることで、毛穴を引き締める効果があるため、化粧品などに配合されています。また、抗酸化力を持ち、生活習慣病予防にも効果を発揮します。化粧品に配合することで肌を引き締め、毛穴を目立ちにくくする効果や制汗効果を発揮します。また、体内に入ったタンニンが、腸の粘膜を刺激することで腸を引き締め、下痢を改善する効果を持ちます。更に、メラニンを生み出す細胞の増殖を抑えることで、皮膚保護作用や美白作用をもつことも分かっています。タンニンは、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなどと同じ分類に入ります。タンニンは、たんぱく質やアルカロイド、金属イオンと結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物です。タンニンは植物に多く含まれ、強烈な苦みや渋みを示すことから、植物を外敵から守る役割を果たしています。タンニン、タンニン酸ともに強い収れん作用を持つため、強い渋みを感じます。これはタンニンが舌や口腔粘膜のたんぱく質と結合し、変性させてしまうことにより感じます。渋みは味覚ではなく、たんぱく質の変性によって生じるため、痛みなど触覚のひとつだと考えられています。また、タンニンやタンニン酸は代表的な収れん薬で、医薬品をつくるためや、医薬品の刺激性を抑えるために使われることもあります。

ヘスペリジン

ヘスペリジンはフラボノイドの1種です。
ヘスペリジンには、抗酸化作用や末梢血管を強化する効果があるため、血流を改善する効果や高血圧を予防する効果、コレステロール値を低下させる効果などがあります。
また、ヘスペリジンはアレルギーによる炎症を抑制する作用も持つため、花粉症の予防効果も期待されています。更に、ヘスペリジンには血圧の上昇を抑制する作用や、血中のコレステロール値を改善する作用、骨密度の低下を抑制する作用などが期待されています。ヘスペリジンはビタミンCの吸収を促進する作用も持つため、ビタミンCを効率的に摂取するためにも利用できる成分です。ヘスペリジンは、柑橘類に多く含まれている栄養素で、ビタミンPとも呼ばれるポリフェノール、フラボノイドの一種です。ヘスペリジンは当初、人間に必須の栄養素であると考えられており、ビタミン類の一種としてビタミンPと名付けられました。しかし、その後の研究で、ビタミンではないことが明らかになり、ヘスペリジンはビタミン様物質として扱われています。ヘスペリジンは熱や光に弱く、加熱するとその効果が減少します。また、酸化しやすい成分でもあり、空気にさらされ続けると変性するといわれています。天然のヘスペリジンは、水に溶けにくい性質を持つ成分であり、体に吸収されにくいとされていました。しかし近年では、水に溶けやすく、非常に高い吸収力を持ったヘスペリジンが開発され、サプリメントなどに広く利用されるようになりました。ヘスペリジンを摂ることによって手先足先の末梢血管の血流が改善され、体温の上昇を促す作用があります。古くから日本の生活にもヘスペリジンは使われており、天日干ししたみかんの皮をお風呂に入れるという習慣は、みかんの皮に含まれているヘスペリジンが血流を改善するからであると考えられます。

ナリンギン

ナリンギンはミカン科植物の果実に含まれるフラボノイドの1種で、苦みの元となる成分です。グレープフルーツなどの果実を食べると舌がヒリヒリと感じるのは、ナリンギンの結晶が鋭い針状になっているからです。食欲抑制や抗酸化などの効果があり、毛細血管の強化による血流改善、抗アレルギーなどの効果があります。
ナリンギンのアグリコン(配糖体から糖を抜いたもの)であるナリンゲニンを摂取することによって脳の血管性疾患のリスクが低下します。​グレープフルーツの苦み成分はナリンギンであり、独特の苦みと酸味には血栓を防止し、血中脂肪酸を分解する作用があります。また、血管の抵抗力を高め、血管を構成している細胞と細胞の結合組織を強くする働きがあるため、血流を改善しむくみをとる効果があります。ナリンギンは抗アレルギー作用を持ち、花粉症の症状を緩和するとともに免疫力を高めます。また毛細血管を強くし出血性の疾患を防ぐほか、ウイルスへの抵抗を高め、アレルギーの抑制をします。ナリンギンが持つ抗酸化作用は、活性酸素の増加を抑え、生活習慣病の予防に役立ちます。

カテキン

カテキンはフラボノイドの1種で、主にお茶の苦渋味成分です。ポリフェノールのフラボノイド系のフラバノール類にカテキンは分類されます。緑茶中のカテキンの成分はエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどの約4種類が含まれています。カテキンは細菌とウイルス双方に効果があります。ウイルスは細胞の中で増殖します。インフルエンザなどのウイルスは体内に入ると細胞にくっつく働きがあります。カテキンを摂取するとウイルスが細胞につきにくい状態になるので、細胞内での増殖を抑え風邪予防の効果が期待できます。カテキンには活性酸素除去作用やがん細胞の抗突然変異抑制作用があります。さらにがん細胞の増殖を抑える働きもあるためがん予防に役立ちます。カテキンは、食事中のコレステロールの吸収を抑え排出を促す働きがあります。カテキンを摂取することで悪玉コレステロールのみが低下し善玉コレステロールには関与しないので、動脈硬化の予防に非常に役立ちます。
カテキンは食後、腸からの糖の吸収を抑える働きがあります。食前に取り入れることで腸からの糖の吸収が緩やかになります。
また、抗菌作用があり食中毒の原因となるO-157などの食中毒菌や胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌の増殖もおさえるので、食中毒予防や胃潰瘍予防に有効です。
カテキンを摂取し続けると、肝臓での脂質代謝が高まりエネルギー消費が高まります。そのため、体脂肪が減少します。また、カテキンを継続的に摂取し続けると、食事性脂肪の燃焼を上昇させ食事誘発性体熱産生を上昇させます。食事誘発性体熱産生とは食事後の消化、吸収によって消費されるエネルギーのことです。消費エネルギーは基礎代謝、身体活動代謝、食事誘発体熱産生の3つがありますが、そのうち食事誘発体熱産生は内臓脂肪が多い人ほど低いので、肥満予防に役立ちます。

プロシアニジ

プロシアニジンは、フラボノイドの一種であり強い抗酸化作用があります。抗酸化物質は活性酸素の発生やその働きを抑制したり、活性酸素そのものを取り除いてくれます。その他にも、コレステロールや中性脂肪の上昇抑制作用、血糖値の上昇抑制作用、抗炎症作用、血管保護作用、血圧上昇抑制作用、肝臓の損傷を抑制する作用、脂肪の蓄積抑制や代謝促進作用、肥満や高血糖予防効果、認知機能の改善効果、抗アレルギー作用、頭皮の血行促進や育毛作用、白内障予防効果、末梢血管の拡張作用、血小板の凝集抑制の作用、生理痛の改善、月経困難症や子宮内膜症への作用、更年期の改善など数えきれない程の効果をもつ栄養素です。

フラボノイドが豊富な食べ物

ケルセチン

玉ねぎ、リンゴ、ブロッコリー、そば、緑茶などに多く含まれています。 野菜や柑橘類などにも含まれます。

タンニン

赤ワインや茶葉、渋柿などに多く含まれています。

ヘスペリジン

みかんに最も多く含まれますが、オレンジ、レモン、ネーブル、イヨカン、ダイダイ、シークワーサーなどの柑橘類にも豊富に含まれています。これらの柑橘類の皮に成分の多くが含まれています。

ナリンギン

グレープフルーツやはっさくなどのミカン科の果実に含まれています。ナリンギンもまた、皮周辺に多く成分が含まれています。

カテキン

緑茶に最も多く含まれていますが、紅茶やウーロン茶にも豊富に含まれています。またお茶以外では、りんご、ぶどう、チョコレートなどに豊富に含まれています。

プロシアニジン

リンゴ、カカオ、シナモン、黒豆、ナッツなどに豊富に含まれています。

体に助け舟を

ここまでフラボノイドについて紹介してきました。フラボノイドの健康に対する素晴らしい効果を知っていただけたと思います。しかし、フラボノイドだけを多く摂取しても、この記事で紹介したような効果は期待できません。様々な必須成分と助け合うことにより、私たちの体は健康に保たれているからです。そして、フラボノイドだけをとっても、十分な量の成分を食事だけでは摂取できないという方が多いと思います。そこで、ぜひ紹介したいのがサプリメントです。サプリメントは、補助食品として多くの有効成分を含有しています。自分に足りない成分が分かっているのなら、単体成分のサプリメントを、マルチにカバーしたいという方は、相乗効果を持つ成分が凝縮されたサプリメントを飲んでみてはいかがでしょうか。

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