食・栄養

これで「和食」の全てがわかる。種類や特徴、歴史についてご紹介

日本を代表する文化の一つである「和食」
しかし、和食についての基本的な知識を問われたときに、答えられない人は多いのではないでしょうか。

海外からの関心が高いため、外国人の方に聞かれたときにもしっかりと答えられるように、和食に関する知識を身につけておくことはとても重要です。

この記事では、和食の種類や特徴、その歴史について解説していきます。

和食の種類とは

一口に和食と言っても、いくつか種類があります。まずは基本の4つをご紹介します。

公家による大饗料理

平安時代に、公家が客人をおもてなしするために誕生したのが大饗料理です。中国の影響が大きく、ひとつの卓にすべての料理の皿が置かれ、皿数は偶数と決められています。

禅宗の僧が広めた精進料理

野菜や豆・穀物・海藻など、植物性食品のみを使った料理が精進料理です。

平安・鎌倉時代に、禅宗の僧が中国で学んできた宗教観が元になっています。殺生を禁じる教えから肉食はせず、粗食という禅宗の修行の意味もあるようです。

現在にも受け継がれている大豆の多彩な加工技術は、タンパク質摂取のために試行錯誤して作り出された、この精進料理が発達させたと言えます。

武士のもてなし本膳料理

室町時代に誕生した、武家が客人をおもてなしするための本膳料理は、大饗料理の儀式的要素やおもてなしに、精進料理の技術を取り入れて生まれました。

料理をそれぞれ膳に乗せて一席に提供される点は、日本料理の原型と言えるでしょう。 料理の部の前には式三献という酒の部があり、その後の料理の部でもお酒は供されます。

本膳料理は、本来、作法が非常に厳しく、儀式的要素の強い料理です。能・狂言を鑑賞しながら行われることも多く、一晩中続くことも珍しくなかったようです。 本膳料理は明治以降に廃れていき、室町時代通りの形式を現代で見ることはなくなりました。

映画・ドラマで、戦国武将が能や狂言を楽しみながら酒宴をしているのを見たことがありませんか?その酒宴こそ本膳料理です。

千利休のこだわりが懐石料理

安土桃山時代に誕生したのが懐石料理で、茶道でお茶を飲む前の軽い食事です。ご飯・吸い物から出され、最後は菓子。

一皿ずつ提供され、多くて5人程度で行われます。わびさびを重んじた千利休が、それまでの茶の湯から酒宴の要素を取り除いたものがはじまりです。

和食の特徴は?

次に、ぜひ海外の方にも知ってもらいたい、和食ならではの特徴を確認しておきましょう。

多様で新鮮な食材と素材を活かす調理

日本には四季があり、国土は南北に長く海・山に恵まれ、各地でその地形や気候に合った食材が収穫可能で、その食材に合わせて素材を活かす調理器具や調理法がとても発達しています。

味噌・醤油・納豆・ぬか漬け・日本酒などの発酵食品が多彩なのも大きな特徴です。

バランスが良く、健康的な食生活

だしによる「旨味」を上手に使い、動物性油脂を過剰に摂取しない食生活が和食の文化です。先進国の中でも肥満に悩まされる割合は非常に少なく、世界で一番の長寿大国となっているのは、和食文化も関係していると言っても良いでしょう。

旬の食材と四季の美しさの表現

四季折々の素材を楽しむのも、日本に住んでいればごく自然のこと。素材以外にも、季節の葉や花で料理の飾り付けをする他、季節に合わせた食器や調度品を使い、思う存分その季節を味わいながら食事を楽しむのは和食独自の文化でしょう。

年中行事と料理との関わり

日本における食文化は、年中行事と強く結びついています。おせち料理に七草粥、節分には豆まき、桃の節句にはちらし寿司を楽しみますよね。

春には花見団子、端午の節句には柏餅やちまき、土用の丑の日はうなぎ、彼岸にはおはぎやぼたもち。お月見にはお団子、大晦日は年越しそばと、日本では食べ物と年中行事が密接につながって各々の思い出を作っています。

和食の歴史とは?

中世

中世の日本における和食の特徴は、地域ごとの食文化の多様性が顕著であり、流通や交流の発展により食材や調理法が広がったことが挙げられます。

中世には、社会的階層に応じた食事のスタイルが存在し、貴族や武士は精緻な懐石料理を楽しみ、一方で一般庶民は質素な食事を摂っていました。また、仏教の影響により、野菜や大豆などの植物性食品が重視され、菜食文化が根付きました。

中世の終わりには、茶の湯や茶道が興り、食事と共に茶の嗜好が生まれました。これらの特徴は、日本の和食文化の形成に大きな影響を与え、現代の食文化にも継承されています。

江戸時代

江戸時代の和食は、全国の流通網が整備されたことで多様性と普及が進み、商業の発展により食文化が豊かになった時代です。

庶民の食生活では、醤油やみりんなどの調味料が一般化し、そばや寿司、天ぷらなどの外食文化も発展しました。一方で、食事の作法に関しては、懐石料理の誕生や茶の湯の普及など、日本独自の文化が形成されました。

この時代の特徴は、地域ごとの食材や調理法の交流、庶民の食生活の向上、そして食事を通じた文化の発展にあります。

明治時代

明治時代は、日本の食文化に大きな変革をもたらした時代であり、欧米からの文明開化の影響を受けつつも、日本固有の食習慣と西洋の要素が融合しました。この時代には肉食禁止文化が終焉し、洋食の普及が進みました。

また、産業革命により機械化が進み、食品の生産や加工技術が向上しました。これにより、食事の多様性や栄養バランスが改善され、庶民の食生活が豊かになった一方で、伝統的な和食の価値観にも変化が生じました。

明治時代は、日本の食文化において過渡期であり、和洋折衷の食事スタイルが形成されるなど、多様性と変革が特徴でした。

現代

現代の和食は、多様な食材や調味料を活用し、伝統的な日本料理の技法と革新的なアプローチを組み合わせています。海外からの影響を受けながらも、地域の旬の食材や季節感を大切にし、食の安全や持続可能性にも重きを置いています。

また、和食は世界中で人気を博し、日本国内でもグローバル化が進み、異国の料理との融合や新たな食文化の創造が盛んに行われています。

その結果、和食は単なる食事ではなく、文化の一部として広く愛され、日本の食と文化の象徴として位置付けられています。

最後に

今回の記事では、意外と知らない日本の伝統的な文化の一つである「和食」の種類や特徴、その歴史について時代ごとに解説しました。

日本の伝統的な文化の一つで名前は知っていても、その細かい種類や歴史について初めて知る方も多かったのではないでしょうか。

日本を代表する和食について、正しい知識を身につけましょう。

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