現代の日本では、多くの人々がその日その時に食べたいものを自由に選んで、食べることができます。24時間営業のコンビニエンスストアや、ファストフード店などのお店が増えていますので、利用する機会は多いのではないでしょうか?便利な反面、空腹を満たす・すぐに食べることが出来るものばかりを選んで、食事内容をおろそかにすると、必要な栄養素が不足して不必要なものが過剰になる「現代型栄養失調」に陥ってしまいます。
現代版の栄養失調とは?
皆さんがイメージする栄養失調は、満足に食事ができないこと(食糧不足)によるものと考える方が多いのではないでしょうか?このような栄養失調は、主にエネルギー量が不足している状態を指しています。しかし、現代型栄養失調はエネルギーは十分足りているにも関わらず、たんぱく質やビタミン・ミネラルといった、体に必要な栄養素が不足している状態のことを指しています。これは現代の食生活スタイルが招いたもので、便利な現代だからこそ、起こりうる栄養失調です。
現代版「栄養失調」の原因は?
それでは、現代型栄養失調は具体的にどのような食生活から引き起こされるのでしょうか。これらが引き起こされる原因は大きく分けて「食事量の偏り」と「食事内容の偏り」がありますので、それぞれご紹介いたします。
食事量の偏り
食事量の具体例としては以下の2点が挙げられます。
・自己流の無理なダイエット
・習慣的な朝食欠食
以下説明していきます。
自己流の無理なダイエット
自己流の無理なダイエットは体に深刻な悪影響を及ぼします。
突然の食事制限や過度な運動は基礎代謝を低下させ、栄養不足や免疫力の低下を引き起こし、心身の健康に悪影響を与える場合もあります。また、短期的な効果に惑わされても、長期的にはリバウンドや身体への負担が増大し、健康を損なう可能性が高いです。
加えて、専門家の指導なしに行うことで、筋肉や器官に損傷を与えるリスクも伴います。自己流の無理なダイエットは、一時的な成功を追求する代わりに、身体と心の健康を危険に晒すことになるため、正しい方法と指導の下で行うことが不可欠です。
習慣的な朝食欠食
習慣的に朝食を食べないことは、体に多くの悪影響を及ぼします。
朝食を抜くと、脳のエネルギーが不足し、集中力や記憶力が低下しやすくなります。また、朝食抜きは体内の血糖値が不安定になり、昼食後や夕食後に血糖値が急激に上昇しやすくなります。 さらに、朝食を食べないことで身体の代謝が低下し、体脂肪が蓄積されやすくなり、これにより、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まります。
精神面でも朝食抜きは影響を与え、ストレス耐性や心理的な安定性が低下する可能性があります。 朝食は体の健康維持に欠かせない栄養補給の機会であり、健康的な生活を送るためには朝食を摂ることが重要です。
食事内容の偏り
食事量の具体例としては以下の2点が挙げられます。
・脂がのった食事を多く摂る
・レトルトを多く食べる
以下説明していきます。
脂がのった食事を多く摂る
脂がのった食事を多く摂ると、飽和脂肪酸の摂取量が増え、心血管疾患のリスクが高まります。
過剰な飽和脂肪酸の摂取は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加を招き、動脈硬化や心筋梗塞などの血管障害を引き起こす可能性があります。また、揚げ物などの脂っこい食事を習慣的に摂ると、肥満やメタボリックシンドロームのリスクも増大します。
さらに、高脂肪の食事は消化器官に負担をかけ、消化不良や胃腸の不調を引き起こす可能性があります。その結果、体重管理や健康維持が困難になり、生活習慣病の発症リスクが高まります。食事のバランスを考え、健康的な脂質を摂取することが重要です。
レトルトを多く食べる
レトルト食品は加工食品の中でも栄養バランスが悪く、添加物や保存料が含まれている傾向があります。これらの食品は、過剰な塩分や糖分、飽和脂肪酸を含み、肥満や高血圧、心血管疾患などの生活習慣病のリスクを増加させる可能性があります。
また、栄養価が低く、ビタミンやミネラルの不足が起こりやすく、栄養失調や健康問題を引き起こす恐れがあります。さらに、加工食品には通常、保存期間を延ばすための添加物が含まれており、これらの化学物質が摂取されることで、体への悪影響が懸念されます。したがって、バランスの取れた食事や新鮮な食材を中心に摂取することが健康にとって重要です。
現代版栄養失調の具体的な症状とは?
栄養が偏った食事を摂取し続け、栄養が不足したときに表れる具体的な例として以下の4点を挙げます。
・ビタミン不足による不眠
・タンパク質不足による抜け毛
・肌のしみやしわが増える
・骨に関する症状のリスクが高まる
ビタミン不足による不眠
ビタミン不足による不眠は、睡眠の質や量を低下させ、日中の集中力やパフォーマンスを損なう恐れがあります。
特に、ビタミンB6やマグネシウムの不足は睡眠障害を引き起こすとされており、不眠症や睡眠の浅さ、夜間の目覚めを増加させる可能性があります。これにより、免疫力の低下や心血管疾患のリスクが増加し、全体的な健康状態に影響を及ぼす恐れがあります。
したがって、バランスの取れた食事やサプリメントの摂取が重要であり、ビタミン不足を補うことで睡眠の質を向上させ、健康的な生活を維持することが必要です。
タンパク質不足による抜け毛
タンパク質不足は髪の成長や健康に直接影響を与え、抜け毛の増加を引き起こす可能性があります。
髪の主成分であるケラチンはタンパク質から作られており、不足すると髪のハリやツヤが失われ、髪が細く痩せたり、抜け毛が増えたりする恐れがあります。これにより、髪の薄毛や健康的な髪の成長が阻害され、外見だけでなく自尊心や精神的な健康にも影響を与える可能性があります。
したがって、バランスの取れた食事や必要な栄養素の摂取が重要であり、タンパク質を十分に摂取することで髪の健康を保ち、抜け毛や薄毛のリスクを軽減することが必要です。
肌のしみやしわが増える
ビタミンやタンパク質が不足することで、肌のしみやしわが減る場合があります。肌のしみやしわが増えることは、肌の健康と若々しさに悪影響を及ぼします。
しみは紫外線によるメラニンの生成や肌の酸化によって生じ、しわはコラーゲンやエラスチンの減少により発生します。これらの肌トラブルは老化の兆候であり、外見的な美しさだけでなく、自信や心理的な幸福感にも影響を与えます。
さらに、肌のしみやしわは紫外線やストレスなどの外部要因によって悪化する可能性があり、日常生活においても注意が必要です。そのため、適切なUV対策やスキンケア、健康的な生活習慣の確立が重要であり、肌のトラブルの予防と改善に役立ちます。
骨に関する症状のリスクが高まる
栄養バランスが崩れると、骨に関する症状のリスクが高まります。
不十分な栄養摂取は骨密度の低下や骨折のリスクを増加させ、骨粗しょう症などの骨の疾患の発症を引き起こす可能性があります。特に、ビタミンDやカルシウムなどの重要な栄養素が不足すると、骨の成長や修復に必要な機能が阻害され、骨の健康が損なわれます。
このような状況は、高齢者や女性などの特定の人々に特に影響を与える可能性があり、日常生活での健康的な食事や栄養補助食品の摂取が重要です。栄養バランスの崩れによって引き起こされる骨に関する問題は、生活の質を低下させ、日常活動や運動に支障をきたす可能性があります。
終わりに
今回の記事では、現代人が陥りがちな、現代版の「栄養失調」について紹介しました。
食事に関して便利なものが増え、現代人の多くがその利益を享受していますが、利用することでデメリットももちろん存在します。自身で選択ができる現代だからこそ、得られるメリットは最大限得て、なるべくデメリットを無くす選択を心掛けましょう。