血圧は年齢とともに変化し、正常値の基準も時期によって異なります。
高血圧は自覚症状が少ないため放置されることが多いですが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの重大な疾患を考慮するとリスクが高まるため、早めの管理が重要です。
この記事では、年代別の正常な血圧基準、高血圧・低血圧のリスク、血圧を安定させる方法について詳しく解説します。
血圧の変化が気になる方は、ぜひこの記事を参考にし、日々の健康管理に集中してください。
血圧の正常値とは?高血圧・低血圧の基準を解説

血圧の定義と仕組み:最高血圧・拡張期血圧とは
血圧とは、心臓が血液を全身に出す際に血管の壁にかかる圧力のことを言います。血圧は、「最高血圧(限界期血圧)」と「拡張期血圧」の2つの数値で表されます。
最高血圧(限界期血圧)は、心臓が限界になって血液を送り出すときの血管内の圧力で、数値が高いほど血管に負担がかかります。
一方、拡張期血圧は、心臓が拡張して血液を入れるときの圧力で、血管の柔軟性や末梢血管の抵抗の影響を受けます。
加齢やストレス、運動不足などの影響を考慮するため、日常的に測定し、自分の血圧の状態を把握することが重要です。
正常な血圧の範囲と診断基準【高血圧・低血圧】
一般的に、正常血圧は120/80mmHg未満とされ、それを上回ると注意が必要です。
高血圧は、動脈硬化の進行を早め、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるため、早めの対策が必要です。
一方、低血圧はめまいや立ちくらみを考えることがあり、症状がある場合は医師の診断を受けることが推奨されます。
診察室血圧と家庭血圧の違い
血圧は測定する環境によって変動しやすく、診察室血圧(医療機関で測定する血圧)と家庭血圧(自宅で測定する血圧)の数値が異なることがあります。
診察室血圧は、病院やクリニックで測定するため、「白衣高血圧」と呼ばれる現象が起こります。これは、診察時緊張によって一時的に血圧が高くなる状態です。
一方、家庭血圧はリラックスした環境で測定できるため、より日常的な血圧の状態を反映しやすいとされています。
家庭血圧の基準は、135/85mmHg未満が正常とされ、診察室血圧よりもやや低いめの基準が設けられています。
家庭血圧の測定は、毎日決めた時間にリラックスした状態で行うことが推奨されます。
年代別の血圧目安【20代~70代】

20代・30代の血圧正常値:若い世代のリスクとは
20代・30代の血圧の正常値は、限界期血圧(最高血圧)120mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)80mmHg未満が目安です。
この年代では、一般的に血圧が安定しているものの、不規則な生活習慣やストレスによって高血圧のリスクが潜在的に増加することがあります。
塩分の多い食事、運動不足、過度な飲酒、喫煙、睡眠不足は血圧上昇の要因になります。 若年層の高血圧は、初期には症状がほとんどないため、しばらくしないうちに血管への負担が増加し、将来的な動脈硬化や心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
食事の見直し、適度な運動、ストレス管理を意識し、定期的な血圧チェックを行うことで、将来の健康リスクを軽減できます。
40代・50代の血圧正常値:生活習慣の影響が強まる年代
40代・50代になると、血圧の基準値は130/85mmHg未満が目安とされます。
ただし、この年代では、加齢による血管の老化や生活習慣の影響が強くなり、血圧が高くなりやすい傾向があります。
仕事や家庭のストレス、食生活の乱れ、運動不足、肥満などが高血圧の大きな課題となります。また、血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるため、早めの対策が必要です。
この年代では、減塩や野菜・魚の摂取量を増やし、定期的な有酸素運動を行い、飲酒や喫煙を控えるといった生活習慣の見直しが特に重要になります。
血圧が130/85mmHgを超えた場合は、定期的な健康診断を受け、必要に応じて医師と相談することをおすすめします。
60代・70代の血圧正常値:高齢者における注意点
60代・70代では、140/90mmHg未満が正常値とされていますが、加齢による血管の硬化により、血圧がやや高くなりやすい傾向があります。
この年代では、血圧の変動が起こり、特に「朝の高血圧」や「起立性低血圧」が起こりやすくなります。
朝の高血圧は心臓発作や脳卒中のリスクを高め、急な立ち上がりによる低血圧は転倒やめまいが引き起こされる可能性があります。
対策として、塩分を控えた食事、適度な運動、十分な水分補給を心がけることが重要です。
また、血圧の急激な変動を防ぐために、急に立ち直らず、朝起きたらゆっくり動き、寒暖差をある程度にする工夫も必要です。
医師の指導のもと、適切な血圧管理を行い、健康的な生活を維持しましょう。
血圧計測方法と診断のポイント

正確な家庭での血圧測定のコツ
家庭での血圧測定は、日常の血圧状態を正しく認識するために重要です。 医療機関で測定する血圧と比較して、家庭血圧はリラックスした状態で測定できるため、より日常に近い血圧を知ることができます。
まず、血圧測定のタイミングですが、朝と夜1日2回測定するのが基本です。朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前の状態で測定することが推奨されます。夜は就寝前のリラックスした状態で測ると、より正確なデータが得られます。
1回の測定で終えず、1分間隔で2回測定し、その平均値を記録することでより正確な数値を測ることが可能になります。
測定時の姿勢も重要です。歩行のある椅子に座り、足を組まずに床につけ、腕は心臓の高さにしましょう。
また、測定前に5分程度安静にし、カフェインや喫煙、入浴直後など血圧が変動しやすいタイミングは避ける必要があります。
診察室血圧での注意点と診断基準
その理由の一つに、「白衣高血圧」と呼ばれる現象があり、診察時の緊張やストレスによって一時的に血圧が正常になることがよくあります。
逆に、診察室では値が性格であっても、家庭での測定では高い数値が出る「仮面高血圧」と呼ばれる場合もあり、正確な診断には家庭血圧との比較が必要です。
血圧の診断は、日本高血圧学会のガイドラインに基づいています。 診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上であれば「高血圧」と診断され、家庭血圧の場合は135/85mmHg以上が高血圧の基準とされています。
診察室血圧と家庭血圧の両方を測定し、その結果を医師と相談しながら血圧管理を行うことが、健康維持のために重要となります。
血圧異常の原因とリスク【高血圧・低血圧】

高血圧の主な原因と影響:遺伝・塩分過多など
高血圧の原因は、大きく分けて生活習慣によるもの(本態性高血圧)と病気が関与するもの(二次性高血圧)があります。
特に本態性高血圧は、遺伝や食生活、運動不足、ストレスなどの影響を受けやすく、日本人の高血圧の約90%がこれに該当するとされています。
遺伝的要因としては、両親や祖父母が高血圧である場合、子供も高血圧になりやすい傾向があります。 塩分の過剰摂取も高血圧に繋がる要因の一つです。 塩分を多く摂ると体内の水分量が増加し、血液量が増えるため血圧が上昇します。
高血圧の状態が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中、腎疾患のリスクが高まるため、早めの対策が必要です。
食生活の見直しやきちんとした運動を取り入れることで、高血圧を予防・改善することが可能です。
低血圧の症状とその原因
低血圧は、高血圧と比較すると注目されにくいものの、めまいや立ちくらみ、だるさ、冷え性などの症状から、日常生活を満足に過ごすことができない場合もあります。
一般的に、限界期血圧が90mmHg未満、拡張期血圧が60mmHg未満の場合、低血圧と診断されます。
低血圧の原因はさまざまで、遺伝的要因や自律神経の乱れ、栄養不足、脱水症状などが関係します。 特に、若年の痩せ型女性に多い「本態性低血圧」は体質的なもので、特に大きな病気がなくても低血圧の症状が現れることがあります。
また、長時間の立ち仕事や急な立ち上がることで血圧が大幅に低下する「起立性低血圧」にも注意が必要です。
水分補給や、塩分を適量摂取することが、低血圧対策効果としてあります。
動脈硬化や心臓病に繋がる血圧管理の重要性
高血圧が続くと、血管に負担がかかり、動脈硬化の進行が早まり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大します。
そのうち、低血圧も血流の循環が早くなり、脳や心臓への酸素供給が不足することで、めまいや失神が起こる可能性があります。 高齢者の低血圧は、転倒のリスクが高く、骨折など二次的な被害に繋がることもあるため注意が必要です。
血圧を適正に置くためには、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理、規則正しい生活が欠かせません。
また、家庭での血圧測定を習慣化し、定期的に自分の血圧を把握することで、初期の異常発見につながります。
血圧を下げるための生活習慣の改善方法

適度な運動で血圧をコントロール
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど)は、血管を広げて血流をスムーズにし、心臓への負担を軽減するため、血圧のコントロールに役立ちます。
週に150分以上の中等度の有酸素運動(1日30分程度のウォーキングなど)が推奨されています。 軽い筋力トレーニングを実践することで、基礎代謝が上がり、血圧の安定につながることも知られています。
ただし、適度な運動や長時間の負荷をかけると逆に血圧が上がるリスクがあるため、無理のない範囲で継続することが重要です。
食事で改善!栄養バランスを見直しましょう
血圧を下げるためには、塩分の摂取を控え、カリウム・マグネシウム・食物繊維を積極的に摂ることが重要です。 塩分(推奨)の過剰摂取は血圧を上昇させるため、1日の摂取量を男性7.5g未満、女性6.5g未満(日本高血圧学会推奨)に重点を置きましょう。
カリウムは体内の安全ナトリウム(塩分)を体外に排出する働きがあり、バナナ、ほうれん草、アボカド、豆類、海藻などに多く含まれています。
また、マグネシウムは血管を広げる作用があり、ナッツ類や魚介類に豊富です。
食物繊維を多く含む玄米、オートミール、野菜、果物を積極的に摂取することで、血圧の安定に役立ちます。
また、加工食品やインスタント食品、外食は塩分が多いため、少なく控えることが重要です。
減塩調味料や酢、レモンなどを活用し、薄味でも美味しく食べられる工夫をすると、無理なく血圧管理ができます。
ストレス管理と質の良い睡眠が重要です
ストレスは血圧上昇の大きな課題の一つです。
ストレスを受けると交感神経が活性化し、血管が制限されて血圧が上昇します。慢性的なストレスが続くと高血圧のリスクが懸念され、動脈硬化が考えられる可能性があるため、適切なストレス管理が重要です。
ストレス解消には、軽い運動、深呼吸、瞑想、趣味の時間を持つことが効果的です。
質の良い睡眠を確保することも血圧の安定につながります。
寝不足が続くと自律神経のバランスが乱れ、血圧が上がりやすくなります。就寝前のスマホやカフェインの摂取を避け、リラックスできる環境を整えることで、深い睡眠をとりやすくなります。
ストレスを軽減し、良質な睡眠を確保することで、血圧の正常化を目指しましょう。
おわりに
血圧は年齢とともに変化し、高くても低くても健康に悪影響を及ぼします。高血圧はサイレントキラーと呼ばれ、動脈硬化や心疾患のリスクを高めるため、初期の対策が重要です。
血圧を正常の範囲に置くためには、塩分を控えたバランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理、質の良い睡眠が欠かせません。
定期的に血圧を測定し、自分の状態を把握することが健康維持の始まりとなります。
日々の生活習慣を見直し、正しい血圧管理を心がけることで、将来の健康リスクを減らし、快適な生活を心がけていただけます。ぜひ、この記事の内容を実践し、健康な血圧を維持していきましょう。

血圧の本当の知識知っていますか?血圧についてはよく耳にするものの、実際にどのような仕組みで健康に影響するのか、詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。血圧が高すぎても低すぎても、体にさまざまなリスクをもたらします。…