なかなか寝つけなかったり、夜中に目が覚めてしまったりなど睡眠で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
睡眠は、睡眠時間だけでなく質も大事とされています。
では、睡眠の質を上げる方法には、どのようなことがあるのでしょうか。
本記事では、睡眠の質を上げる方法について以下の点を中心にご紹介します。
睡眠の質の重要性
睡眠の質とは
睡眠の質とは、睡眠の量(睡眠時間)ではなく、睡眠の深さに基づく考え方とされています。
睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠という役割の異なる2つの状態が、交互に何度も繰り返されます。
ノンレム睡眠の脳は休息状態にあり、脳の老廃物の除去が活発になります。
またノンレム睡眠中は、細胞の修復、代謝促進の働きがある成長ホルモンを分泌します。
睡眠の質は、起床時の眠気や疲労感で測る深い眠りに関係していることが知られています。
十分な睡眠をとっていても、加齢、ストレス、過度の飲酒などが原因で睡眠が浅くなると、熟眠感は低下してしまいます。
健康な生活を送るためには、十分な睡眠時間をとることだけでなく、睡眠の質を高めることが重要です。
睡眠の質はなぜ必要?
睡眠の質が低いと、脳と体が十分に休息できておらず、全体的なパフォーマンスが低下します。
身体面では免疫力を弱め、風邪やそのほかの病気にかかりやすくなります。
また、食欲を増進させるグレリンと呼ばれるホルモンの分泌を刺激し、過剰な食欲につながる可能性があります。
そのため、慢性的な睡眠不足の方は、糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病のリスクが高くなるといわれています。
また、睡眠不足は脳にもダメージを与え、とくに意欲、感情の抑制、注意力、判断力を司る前頭葉に影響を与え、仕事の効率を著しく低下させます。
ミスが続くことで、それ自体がストレスになり、睡眠にさらに影響を与える可能性があります。
睡眠不足が原因で心と体を徐々に蝕むことを「睡眠負債」と呼んでいます。
睡眠の質を下げる原因
生活習慣が乱れている
睡眠の質は、生活習慣に大きく左右されます。
・就寝時間と起床時間の不規則
・朝の光を浴びない
・寝る前にお風呂に入る
・夜更かし
・夜食
上記は体内時計を乱す原因となります。
体内時計が乱れると、睡眠リズムが乱れ、不眠症の原因となります。
ストレス
さまざまな形のハラスメントや、長時間労働などのストレスも睡眠に影響を与える可能性があります。
通常、日中は交感神経系が優位になり、睡眠中は副交感神経系が優位になります。
しかし、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、眠ろうとしても交感神経が活発になり、不眠や睡眠の質の低下につながります。
睡眠環境が悪い
温度、湿度、広さ、明るさ、騒音などが睡眠に悪影響を与えることがあります。
たとえば、寒すぎたり、暑すぎる部屋では快眠しにくくなります。
また、図書館ほどの静けさである40デシベル以上の音がある状態も、睡眠の質を下げる原因になります。
遅くまでスマホを見ている
光のコントロールは、睡眠の質と関係があります。
たとえば就寝前のスマートフォンの使用は、睡眠の質の低下につながります。
テレビやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、睡眠に大切なホルモンであるメラトニンを減らしてしまいます。
その結果、画面を見ているうちに眠気が減少します。
睡眠の質を上げる方法
生活リズムを整える
体内時計は、1日や2日では調整できません。
毎日同じ時間に起きて寝るように意識することで、体は徐々にリズムに慣れてきます。
同じ時間に眠りにつくには、まず同じ時間に起きましょう。
光を浴びると睡眠へのカウントダウンが始まります。
したがって、睡眠を改善したい場合は、一定の起床時間を設定しましょう。
アラームで起きられない場合は、タイマーを使って照明をつけたり、カーテンを自動的に開閉するスマートホームを作成したりする方法もあります。
寝る前には食事をしない
就寝直前は、食事をしないようにしましょう。
食後すぐに就寝すると、体は消化する力を使うため、内臓が休む時間が少なくなります。
そのため、ぐっすり眠れなくなります。
食べ物が胃の中で消化されるのに約3時間かかるといわれています。
就寝前に消化が完了するのが理想なため、就寝の3時間前までに食べ終えましょう。
食事が遅くなるときは、消化の良いものを少量ずつ食べるようにしましょう。
また、カプサイシンを含む食品は深部体温を上げる効果がありますが、寝る直前に食べると深部体温が下がりにくくなります。
普段から適度な運動を心がける
軽いウォーキングやランニングなどの運動を習慣にすることで、体は適度に疲れるため、入眠後すぐに深い眠りになります。
寝る3時間前に運動すると、ベッドや布団に入ったときに脳の温度が下がり、入眠しやすくなります。
また、就寝直前の運動は、脳が覚醒し寝つきが悪くなるので注意が必要です。
ぬるま湯に浸かる
少なくとも、就寝の1〜2時間前に入浴しましょう。
38〜40度のぬるめのお風呂は、副交感神経系を優位にし、体と心をリラックスさせます。
また、ゆっくり体温が上がることで、末梢血管が広がり、手足から熱がスムーズに放散されます。
手足と足首を伸ばすストレッチをすると、さらに寝つきがよくなるでしょう。
忙しくてシャワーで済ませている方や、湯船につかる習慣がない方は足湯がおすすめです。深めの容器に約39〜42度のお湯を入れ、ふくらはぎまでつかりましょう。
睡眠環境を整える
快適な睡眠環境を作ることで、睡眠の質が向上します。
睡眠環境を整えるには、寝具と温度、光が大切です。
寝具は、体にやさしい寝姿勢がとれ、保温性、吸湿性、放湿性のよい寝具が前提条件です。
寝具は、以下のことを意識して選びましょう。
・体型にフィットし、首や肩に合うまくら
・適度に固いマットレスまたはベッドマット
・フィット感のある掛け布団
温度は冬は20℃前後、夏は26℃前後、湿度は40〜70%が良いといわれています。
冷暖房機器を利用して適切な温度を保ちましょう。
夜に明るすぎる光を浴びると、体内時計を乱す可能性があります。
そのため、白の昼光色ではなく、オレンジ色のやわらかい光の照明にしましょう。
寝る前にパソコンやスマホは見ない
ブルーライトはその名の通り青い光で、可視光線の中で最もエネルギーが高いとされています。
ブルーライトは悪いものと思われがちですが、実はブルーライト自体も太陽光に含まれており、体内時計のリセットに欠かせないものなのです。
また、子どもが外で遊ぶほど、近視の進行が抑えられるという調査結果も出ています。
そのため、子どもの目の発育には、ブルーライトが重要であると考えられています。
ブルーライト自体が悪いわけではなく、就寝前の強い光が睡眠へ悪影響を及ぼします。
寝る前に目が明るい光にさらされると、脳はだまされてまだ日中だと思い、メラトニンの分泌を停止します。
睡眠の質を上げるには、寝る前のスマホやパソコンは見ないのが理想的です。
やむを得ない場合は、画面の明るさを下げるか、ブルーライトカットメガネを使用するなどの工夫をしましょう。
眠れないときの対処法
軽くストレッチをする
夜は、呼吸に関連する簡単なストレッチを行うことがおすすめです。
しかし、21時以降の腹筋など呼吸と心拍数を増加させる激しい運動はやめましょう。
遅い時間の激しい運動は、寝つきが悪くなってしまうこともあります。
21時以降は、ストレッチや筋弛緩運動で体の緊張をほぐしましょう。
温かい飲み物を飲む
食後の飲み物は、ホットミルクやハーブティーなどカフェインを含まないものを選びましょう。
温かい飲み物は、体が温まりリラックスできます。
お気に入りのハーブの香りなど、リラックスできるものを選ぶと寝つきが良くなるでしょう。
ツボを押す
安眠をもたらす基本的なツボは、「労宮(ろうきゅう)」と「失眠(しつみん)」といわれています。
労宮は、人差し指と中指の先端の間のツボで、失眠はかかとの真ん中のツボです。
ツボ押しは、強く押しすぎないようにしましょう。
気落ち良さを感じるくらいの強さで、ゆっくりと呼吸しながら押しましょう。
まとめ
今回は睡眠の質の重要性や質が低下する原因、上げる方法、眠れない時の対処方法などを紹介しました。
眠れないときはまず日中に睡眠が低下する理由を探し改善をしてみて、それでも眠れない状況が続くときは、その場で出来る対処方法を試してみてください。